◆『週刊少年マガジン』10/28号 no.46。 グラビア、竹内結子。こりゃかわいい。田中麗奈と並んで期待株。「サイコメトラーeiji」全回までとはうってかわってギャグ。「勝負師伝説哲也」デモ場面から始まる。やっぱデモはいいなぁ。デモやろうよ、デモ。単位獲得泣き付きデモとかやりたいなぁ。「ご趣味は?」「デモをちょっと」なんてイカスじゃないか。「BOYS BE…」「告る」という言葉は告白行為を軽くするのかもしれない。だから「BOYS BE…」では決して「告る」ではなく、「告白」なのだ。「RYUICHIサーフストーリー」川村隆一がサーフィンについて語る。ビジュアル系の人たちは、なんで名前をアルファベットにするんだろう。カッコ悪いと思うのだが。
◆『オルタブックス016〜有害図書の世界』主婦の友社,1998。 「エロマンガは現実という土台を持たず、よってリアルではない。マンガ独自の要素が極まったものが現代エロマンガ」だという野原しんのすけの文は妥当。だから、関係性のモデルとして人はマンガを読むという『サブカルチャー神話解体』(宮台真司他)の前提は、エロマンガについてはあてはまらない。エロマンガの悪影響、模倣行動なんて、ほとんどありえないということになる。
◆『週刊少年サンデー』10/28号 NO.46。 「弾道」は定番だなぁ。「め組の大吾」は泣けるなぁ。「タキシード銀」は良いなぁ。「かってに改蔵」は映画オタッキーにはたまらんなぁ。次号から新連載、赤松健「ラブひな」は、ぬるま湯な共同体ラブコメっぽくて、人気でそう。絵もかわゆいし。
◆『ビッグコミック』10/25号。 谷口ジロー「遥かな町へ」タイムスリップものには弱いなぁ。48才の意識はそのまま、中学時代にタイムスリップした主人公。はたして父の失踪を止められるか、その真相は。「のたり松太郎」の田舎くささは嫌だ。山本おさむ「オーロラの街」は女性の顔の唇の描き方が珍しいと思う。唇をちゃんと描いている。森田功・引野真二「やぶ医者のつぶやき」これは広く読まれるべき。薬の投与に慎重な医者が「やぶ医者」と呼ばれてしまう現状は情けない。近藤ようこ「あけがたルージュ」空を見上げる女子高生。
◆『週刊少年ジャンプ』10/26号 NO.46。 「I"s」が読めればいい。「こち亀」は物語の終盤になると失速してしまう。
◆『ビッグコミック・スピリッツ』10/26号 NO.45。 グラビア、小泉今日子。おしゃれだけどださいというか。微妙な位置にいると思う。例えば藤井フミヤなら文句なくださいのだが。石川優吾「よいこ」は最近好調。とくに今回はめちゃくちゃおもろい。「大人袋」「じみへん」「ちょんまげどん」と、『スピリッツ』はギャグマンガがおもしろい。反対に、ストーリものはマンネリに陥っていて新鮮味がなくなってきた。「センチメントの季節」女子高生と年上のおじさんとの関係が多いように思うが、今回は、援交女子高生と年下の中学生。優越感をもって挑発するも、彼が大人になって初々しさを失ってしまうと「悲しい」のだった。って、いつも思うが、「センチメントの季節」って分かりやす過ぎないか? 『幽々白書』のキャラで描いてた野火ノビ太名義作品のほうが格段に良かった。ある作品(タイトル失念)は『幽白』を全く読んでないおいらでさえ泣けたんだから。
◆『週刊ヤングマガジン』10/26号 NO.45。 グラビア、パイレーツ。小田原ドラゴン「おやすみなさい」は、その情けなさが格別。素晴らしい。前川かずお「DEI48」エロ伝奇ロマン。前田俊夫『うろつき童子』は越えられないだろうが、まぁまぁ。平野博寿「プリティーガールズ」新連載。展開の仕方が巧い。おもしろくなりそう。『湾岸ミッドナイト』の代原でギャグ2本。山田猫「狭間人」つまらん。朝霧直樹「しゃれ」ギャグ大賞佳作。まったくつまらん。二本とも絵が貧相。味があるのではなく今のところただの下手にしか見えん。「カイジ」は毎度ながら続きが気になる。地下沢中也「ギンザ小学校」パーマ屋の親父が、付け毛を継ぎ足していき、宇宙のようなパーマを作る。笑った。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」この絵のくどさは病みつきになるかも。山下ゆたか「ノイローゼダンシング」は回を重ねるにつれて良くなってきた。東和広「ユキポンのお仕事」絵がかわいい。イラストとしてもいけそう。ポストカードにでもしたら売れるだろう。この絵なら『ヤンマガ』よりも少女マンガ誌か、いっそ絵本を描くかしたほうがよいかもしれない。
◆『ビジネスジャンプ』11/1号 NO.22。 中島史雄「ホゲホゲ日記」エロの巨匠がなぜ、ほのぼの家庭マンガ? 小池一夫・叶精作「オークションハウス」『実験人形ダミーオスカー』コンビは健在。カタカナ「ン」も相変わらず。冬目景「イエスタディをうたって」最終回。いまいち消化しきれていない。中途半端に内輪で閉塞している。「僕には何だかわからない!?」不思議解明コラム。セブンイレブンの看板は、なぜ最後のエヌだけが小文字なのか? 当のセブンイレブンでも分からないそうだ。世の中そんなもんよ。
◆夢のある人は偉い、というような空気があるのは、小学校からの学校教育の賜物なのだろう。だから自らの夢を照れもなく堂々と語る人がいるが、そういうのを見ると恥ずかしいと感じるのはオイラだけだろうか。果たして本当に「夢がある」というのは良いことなのだろうか。ただし杉作J太郎に弟子入りしたいとかいう夢ならOK。
◆カネコアツシ『R』祥伝社,1998。 一コマ一コマがキマっている。乾いた物語と絵がかっちょいい。最近読んだ中ではベスト。
◆『コミック・ジャンキーズ』vol.3,コアマガジン,1998。 何も美少女コミックを全てレヴューしようとする必要はないんじゃないかと思う。あと、たまには批判的な言説も欲しい。
◆『サスペリア』11月号,秋田書店,1998。 平野俊貴・垣野内成美「吸血姫美夕」。物語はよくわからんが絵が綺麗。大村和昭「アンラッキー幸子」。四コマ。これはおもしろい。秋乃茉莉「仮面探偵」実在のミステリー作家ゐモデルに描いているので、それが分かる人にはおもしろいだろう。瀬口恵子「タッチ・ミー」触れた人の心が読めてしまう少女。日野日出志「精霊物語」精霊になった母が娘を見守る。絵柄が昔とは少し変わっている。高橋美由紀「フレンズ」美少年の共同体。いちばん少女マンガらしい。一重夕子「鬼がらん」恐い。なかがわらみか「学園怪談」きみはもうひとりぼっちじゃないんだもの。古賀新一「真・黒魔術〜エコエコアザラク」私が好きなのは、裸で陽なたぼっこをしているような黒井ミサだ。
おすすめは高橋美由紀と大村和昭。
◆シェーキーズで食べ放題ウハウハ。
◆横浜サイトポート地区でアート縁日。雑貨を作ってる人達のためのコミケのようなもの。傾向はもちろんかわいいかわいい。昔の歌を残そうという主旨で黙々とシンセを弾いていた親父が印象に残る。バーコード指輪を買う。装飾がバーコードの指輪。夕食、辛いカレーでヒーヒー言う。
◆池袋、サンシャインにて。リサーチの座談会バイト。二時間即金で一万二千円はおいしい。
◆ディスクユニオン、めぼしいものなし。
◆ジュンク堂へ初めて行く。漫画評論はたいていサブカルチャーの棚にあるものだが、ここは漫画評だけの棚があって驚く。『ポップ・カルタチャー・クリティーク0〜「エヴァ」の遺せしもの』、小倉利丸『カルチャー・クラッシュ』、有害コミック準備会『有害コミックの作り方』、榊原史保美『やおい幻論』、鎌田祟太郎『よいこのめばえ』、カネコアツシ『R』。
◆夕食、西武のガスト。
◆シネマサンシャインにて、『ムーラン』。 幼小時から手塚治虫を読んで見て育ってきたオイラには物足りなさすぎる。中国とフン族の闘いを描くにしろ、手塚治虫ならば、フン族を一方的に悪役然とは描かず、相対的な視点を持ち込んで、より物語を深化させたに違いないのだ。
唯一、雪原での戦闘シーンのみ、とくにフン族のボスが切り込んでゆくところのカメラワークには惹かれた。ゴールドスミスの音楽はもちろん素晴らしかった。そういえば、映画評で音楽について触れられているものは少ない。『ムーラン』を語るならばゴールドスミスの音楽に触れないのはおかしいのだ。例えば『ゴジラ』と伊福部昭は切り離せないのだし。
ところで今の小学生は手塚治虫を読むのだろうか。オイラは『ブラック・ジャック』やら『人間昆虫記』やら貪り読んでいたし、いつか手塚全集を手に入れようとカタログを取り寄せるような小学生だった。よく手塚の描く女性はエロティックではないと言われるが、オイラがそんなことはないと思うのは、小学生のときからよくお世話になったからだけではないだろう。今読んでも十分エロティックな描線だと思うのだ。
◆『新世紀エヴァンゲリオン〜Air/まごころを君に』。 希望という言葉は最も希望のない人達のためにある、というベンヤミンの言葉をなぜか思い浮かべた。
◆横浜美術館レクチャーホール。 『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』(監・大林宣彦)。 『五つの哲学的童話』(監・ドナルド・リチー)。 『おかしさに彩られた悲しみのバラード』(監・原將人) の三本を観て、昔の前衛は素直に笑えて良いなぁと思ったりする。
◆ ディスクユニオンが横浜ベイスターズ優勝セール。買いすぎてしまう。 篠田昌巳『コンポステラ』[puff up]、Richard Grossman Trio『Even Your Ears』[HAT HUT]、ベツニ・ナンモ・クレズマー『ワルツ』[NANI]、area『Crac!』[CRAMPS]、はちみつぱい『センチメンタル通り』[King]、バーラチャンダー『瞑想無限』[Victor]。
◆ODEONビルの先生堂で、 中川いさみ『大人袋(3)』、さそうあきら『僕が猫だったころ』、『コミック・ジャンキーズ VOL.3』。
◆夕食、葱味噌ラーメン
◆『ビッグコミック・オリジナル』10/20号 no.719。 読み切り新シリーズ、あだち充「冒険少年」ドラえもん登場。あだち充の読み切り短篇には郊外を走る電車が登場することが多い。西岸良平「夕焼けの詩」私はスレていて、あまり良い読者とはいえないのだが、今回の話は個人的な記憶を思い起させてくれて、けっこう泣けた。佐藤智一「壁ぎわ税務官」税務課に市民オンブズマンの女性がやってきて一騒動。けっこう好きな絵柄。急がない展開が良し。
◆『週刊ヤングサンデー』10/22号 no.45。 グラビア、仲間由紀絵。これといって特徴がないので、難しいなぁ。ドラマで主人公の友人役以上の役はつかないだろう。遊人「桜通信」電車の痴漢シーン、大胆すぎて笑える。佐藤秀峰「ハードタックル」最終回。たぶん始めから6回で終わりと決めていたからだろう、きちんと終わらせている。長期連載になると尻すぼみに終わってしまう場合が多い。阿部潤「The 山田家」良い。
◆『週刊ヤングジャンプ』10/22号 no.45。 グラビア、木内昌子。奥菜恵と類似。
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎」また女が寄ってくる。いいかげん同じパターンは止めてほしい。草薙だらい・紅林直「zero half」読み切り。退屈な高校生活を送る少女が、かつて中退した少年と出会って……。オーソドックスだが、女の子の画がかわいいので読める。熊谷カズヒロ「サムライガン」月一連載。これが毎回載ってればいいのに。仙道ますみ「えっち」えっちでよろしい。森田森魚・七瀬あゆみ「天国にいちばん近いフィールド」最終回にしてはしょぼい。
◆『アキラ』監・大友克洋。 ドームが触手とともに盛り上がってくる場面でゾクゾクする。あそこはゴジラ出現みたいで。
◆『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』監・アグスティン・ディアス・ヤネス。 ここ数か月に観た映画の中ではベスト。年老いた共産党員の老女。破滅的に生きるその嫁。自殺。希望。
◆岩田宏『九(ここの)』草思社,1998。 平野甲賀の装丁に惹かれて手に取る。文学的な『I"s』とでも言おうか。主人公がもてもて。ラスト、犬と会話するとこが良い。
◆江戸川乱歩「虫」『江戸川乱歩全集(4)』講談社,1969。 なんで江戸川乱歩が好きかっていうと、モラトリアム小説だからなんだなぁ、ということがはっきりした。この物語の主人公も、大学卒業してもふらふらして親の遺産で食べている。
◆そういや、この前、テレビで『ボディーガード』をやってた。銃で撃たれて終わるラストだと聞いていたから、「早く死ね、死ね」と思って見ていたら、なぁんだ、死なないのね、がっかり。
◆昨日の朝日新聞に町田ひらくの新刊『green-out』の書評があることを永山薫による批判、「エロマンガの突出したものだけをつまみぐいして評価するのではなく、エロマンガ全体を見ろ(要約)」に対する反論、「性癖は人ぞれぞれだから、自分の好きなエロマンガしか評価できない(要約)」に終始している。桝野批判の原文を読んでいないのでよくわからないが、山本・永山は、多分、(規制法案成立への懸念を含んだ)政治的な意味で「エロマンガ全体を」と言っているのだろう。これは正しい。政治に対抗するのはそのような手段しかありえない。対して、桝野浩一は、全体性への反論として「自分の性癖」という個別性を持ちだして答えているわけだが、しかし、ここで提出すべきなのは「自分の性癖云々」よりも、個々の作家、作品についての批評だろう。桝野浩一が町田ひらくについて素晴らしい批評を展開すれば誰も文句はないはずだ。
◆初めて商業史の授業に出た。ぼそぼそと聞き取りにくい声で、「わたしは太陽族世代だから、浜辺にいるだけで太陽族だと思われた」とか「この間、車を走らせていたら、シジミラーメンという看板があって・・・肝臓にいいんですシジミは」などといった世間話を一時間半も聞かされた。大学の授業って一体・・・。
◆『音の力~コザ沸騰編』インパクト出版,1998。 竹中労を読まなければならなくなってしまったようだ。
◆『時をかける少女』監・角川春樹。 非常に職人芸的な演出、カメラワークで撮られた純愛映画。大林宜彦ヴァージョンよりも、こちらのほうが良い。松任屋正隆の音楽も的確。
◆このあいだ拾ったEPの中からいくつか聴いてみる。天馬ルミ子『教えてください(はあと)神様』は都倉俊一の作編曲で流れるようなメロディとアレンジ、素晴らしい。フリーランサー『何もしたくない』は、歌詞が「ああ家がない家がない ああ呑んだくれ」。続いて二番が「ああ夢もない夢もない 今日も昨日も同じこと 何もしたくない 生きていたくない」と、あんたらいったい何があったんじゃい? と尋ねたくなるような暗さ。南沙織『夏の感情』は例によって作編曲、筒見京平、演奏、キャラメル・ママとビッグネームにしては、イマイチ。キャラメル・ママは今度でるユーミンのベストアルバムに収録される新曲のために再結成されるらしい。にしても南沙織って見れば見るほどソツのない顔をしている。
◆コンビニで『コミックGON』新刊立ち読み。インタビューのある記事は読ませる。
◆ 和歌山カレー毒物事件の容疑者が逮捕さる。性格には保険金詐欺疑惑で逮捕だが。犯人がテレビでやたら語っていたのは不安だからだろうか。報道陣に水をかけたのは正しい。とくに新聞記者が嘘しか書かないのは、地下鉄サリンのときの記事を読めばすぐわかる。
◆巻上公一『声帯から極楽』筑摩書房,1998。 かの名曲「ドナドナ」はイーディッシュ演劇の挿入歌らしい。実は収容所に連れられていくユダヤ人を歌ったものだ、という噂を聞いていたのだが、年代からすると、違っていたということになる。しかし後年に読み替えられたという可能性もありうる。
◆『週刊漫画TIMES』10/16号。 ここに書くのは初めての雑誌なので詳しく。西陽一・宮田淳一「サギ師一平」タイトル通りサギ師の話。松茸という旬の題材を扱っているのはうまい。鈴木義司「義司の週間絵日記」たとえばこういうマンガ。「ヤクルトの野村監督やめたなぁ」「後任はあの人がいいなぁ」「あの人ってだれだ」「女房のサッチー 相手チームがふるえあがっちゃう」。何も言うまい。小島功「漫画ずいひつ おんな」いつもの伝統芸。倉科遼・和気一作「女帝」銀座ホステスの女帝を目指す主人公。顔の描写からしておそらく田島陽子をモデルにしたフェミニスト教授と論争し、打ち負かす。広山義慶・北鏡太・みね武「新・女喰い」原作、脚色、画と三人も作者がいる。この雑誌のエロパートを担当。精力絶倫テクニシャンがタイトル通り女を喰ってく。西ゆうじ・田名俊信「蔵の宿」男女カップルが酒蔵を盛り返していく話。田中しょう「サラリーマン金四郎」画・内容とも植田まさしと見分けがつかない。伊東恒久・向後つぐお「おとこ喰い」向後つぐおの処女単行本(なんとかの青春?。タイトル失念)は読んだことあるが、あきらかに後退している。かもちよしろう「こにくらじいさん」つまらん四コマ。「デカかあちゃん」いしいひさいちのエピゴーネンだが、少しはおもしろい。兜司朗・田中朗「やったるで」パチンコ屋にパチンコ雑誌を置くビジネスを成功させようと不倫男女が奮走。男のほうは家族に冷たくされ逆ギレ。しかしどうみても男のほうが悪い。江本猛紀などの野球のエッセイがいくつか。宍倉ユキオ「ぴんくギャル」お色気四コマ。やまざきせいや・かりの一矢「悪銭狩り」借金とりたてやくざを描く。なぜか今回は借金主が披露する貧乏生活マニュアル。子供の弁当はご飯だけ、おかずは友達にもらわせるというケチぶりは凄い。高村圭・川崎三枝子「女彫師アザミ」レディスコミック。阿木慎太郎・風野真知雄・緒方恭二「裁きの牙拳」ヤクザ格闘。小川酔生・松田一輝「赤ハナ刑事」松田一輝といえば『愛星団徒』という野球マンガの怪作があるが、これは普通の人情話。奥田良三「明日の風シリーズ 母と子」は素朴な絵の人情話。風俗・グルメ・競馬情報があって、快楽亭ブラックの映画紹介。特殊映画史をきちんと捉えている。漫画雑誌の映画情報ってのはくだらないのばっかだが、これは毎週読む価値あり。『狂わせたいの』10/10〜ユーロスペース。中野貴雄をおびやかす監督誕生ということで、これは見にいくかも。一コマの絵に科白を入れてやりとりを完成させる問題の出題が山川直人、選がはらたいら。漫画雑誌のなかではらたいらの名前を初めて見たが、この人はいったいどうやって食べているのか。はらたいらに限らず、世の中にはどうやって食ってるのか不明な人々が多い。
これといっておもしろいマンガがないので、この雑誌は捨ててあってももう拾って読まないだろうが、快楽亭ブラックの映画エッセイは立ち読みするだろう。
◆『汚れた女』監・瀬々敬久 瀬々作品を観るのは久しぶり。ワイドショーで話題になった、美容師殺人事件を題材に料理。非常にスタイリッシュで見せ方もうまいし、さすがなのだけれど。この路線はもう終わりにしてほしい。
◆『ビッグコミック・スペリオール』10/15号。 武論尊・池上遼一「HEAT」新連載。やたら喧嘩に強い男が新宿でのしあがってゆく物語。今回はさっそくホストクラブを暴力だけで乗っ取る。この調子で頭を使わずがんばっていってほしい。国友やすゆき「OUT LOW」はちょっとした法律が学べて役立つし、勧善懲悪でスカっとする。北野竜光「ナンデきたの」今回はおもしろかった。「あずみ」は惚れたはれたで一息ついていたが、またピンチに陥るようだ。引きがうまい。星里もちる「オムライス」は話の内容はとりたてて見るべくもないが、『ド根性カエル』女は好き。中川いさみ「関係筋」それにしても中川いさみはコンスタントにおもしろいのが立派。素晴らしい。「だから笑介」相変わらずズっこけかた古し。
◆『モーニング』NO.44。 さだやす圭「ダニ」以前の読み切りが好評だったのか、連載に。やたら強い一匹狼がヤクザと張り合う。温泉で四方からかこまれどうなるのか。引き上手し。「バガボンド」は話も画も予想を裏切らないのがつまらない、良くできてはいるけれど。野中英次「ドリーム職人」は、ぬいぐるみ職人のギャグ。毎回おもしろくて笑える。高橋一哉「クレーな人」は奇妙な味わい。クレー好きな親父が死んで、息子の夢に、クレーの線の姿であらわれる。このクレー化したおやじの画がおもしろいというか妙に存在感がある。「えの素」相変わらずテンポも良くて文句なし。
◆『週刊ヤングサンデー』44号。 グラビア、鮎川なおみ。巨乳。さいきん巨乳っ子のグラビア多い。でも85cmって、もう巨乳の範囲に入らないのだろうか。どこから巨乳でどこから爆乳なのか、誰か公式な見解を提出して決めてくれ。ゲスト読み切り、秋重学「僕の夏は泳げずじまい」少年時代の淡い恋物語。せつない。切り取ってスクラップする。細野不二彦「太郎」はいくつかある細野連載作の中ではイチバンだろう。完結したらまとめて読み返したい。鍋島雅治・一色登希彦「ライドオン」は走り屋ライダーが世界のGPでトップに立つまでという分かりやすい物語で良い。古屋兎丸「ショートカッツ」は外れも多いが、今回のロリロリ金庫ちゃんはちょっと笑った。鍋田吉郎・藤原芳秀「コンデ・コマ」嘉納治五郎と対決。暑苦しい画が死闘の雰囲気を出している。「三代魚武濱田茂夫詩集」この人って、相田みつをと一緒じゃないの? 気持ち悪いわ。
◆『ビジネス・ジャンプ』NO.20。 愛馬広秋「ゴリ」損害保険業界もの。勉強させてもらってます。小池一夫・叶精作「オークション・ハウス」ああ、小池一夫だなぁ、っていう物語。兼松和広「モチーフ」新人賞佳作受賞者。弓月光の代原でデビュー。悪くはないが今ひとつ。橘高寿・高野洋「AS IT LIFE」顔が長すぎ(笑)。いくらなんでも長すぎる。冬目景「イエスタディをうたって」は連載第三回。一回目も二回目も読んだはずなんだが内容を覚えていない。単行本が出たら読もう。細田達史「スター・バラード」は昔日の『ガロ』(林静一、つげ)ふうの画でギャグ。新機軸。
◆バイト。
◆大森しんや『鉄の字』マガジンハウス,1995。 いまは亡き『コミック・アレ』連載。松本大洋を思わせる絵で、バイクに憧れる少年を描く。少年時代の描写は抜群。とくに少年視点の風景の描き方、ゆがみ具合。
◆桜玉吉『のんきな父さん』アスペクト,1998。 『おやじの惑星』にも一部は収録されていたが、これで全部読める。これで切り抜きを捨てられる。文句なしにおもしろい。それにしても、ああ、懐かしのMマガ。ちなみにおいらは今でもMSX2+を持っているのさ。
◆椹木野衣『日本・現代・美術』新潮社,1998。 こーいうだらだら長い文体に憧れたこともあったが、でも、読みにくい。
内容は、現代美術に無知なおいらでも楽しめることは楽しめるが、もっと現代美術のばか記述が欲しい。九州派には笑った。柄谷行人を意識してるのはよく分かるのだが、柄谷ほど記述にキレがない。ところどころ勢いがあって良かったが。
◆『増刊エクストラ・ビジネス・ジャンプ』NO.359。 塩崎雄二「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」主人公の少年が階段から犬と転げ落ち犬と入れ替わってしまう。で、犬となった少年は、少年の彼女の家へ。物語の先行きはだいたい読めるが、女の子の絵がめちゃ好み。かわいいっす。青年誌の場合、とりあえず女の子をかわいく描ければいいってことか。平松伸二「どす恋ジゴロ」いけてる。かなり。きれてる。素晴らしい。小栗舞・松田純「明日につなげて」これも親父とその小学生の息子が入れ替わってしまう話。ひと雑誌にふたつも同じような設定の作品があるのはちょっとなぁ。男女入れ換わり物語については三浦俊彦が『早稲田文学』で論文を書いているはず。興味のある人はチェックするとよいでしょう。サキヒトミ「街角ララバイ」絵に個性があって良い。中川雅之?「ナイス・カップル」挑発!!これが最新型ギャグだ、とハシラにあるように、かなり変わったギャグストーリーマンガ。天狗部の主人公が天狗大会に出る話。不条理マンガと称されるものは、だいたいが物語を作る能力がないから不条理になってしまっているという感じの駄作が多いが、これはおもしろい。南波かつひろ「ゴキカブリ」新人賞佳作受賞作。ごきぶり退治に執拗なまでに執着する男。江藤研介「名・挙げもなし」新人賞奨励賞受賞作。リストラされたサラリーマンが再就職の面接にいくと、そこにはかつての級友だった男が面接官、しかも副社長となっていた。新人にしてはやけに上手い、というか器用に無難というか。青年週刊誌の新人の作品傾向はだいたいそうだ。ビッグ錠「ハッピー・ニューヨーク」画面はごちゃごちゃしてるがちゃんと読めばおもしろいエッセー・マンガ、でも多分ほとんどの人は飛ばして読んでしまうんだろうなぁ。ベテランのほうが若々しい作品を描けるのが今のマンガ界の構造なのかもしれない。長浜敏海「わかれみち」偶然であった友人の妻は、かつて学生時代、冷たく捨てた自分の恋人だった。その友人は羽振りが良く、妻に入った遺産のおかげだった。主人公は上司に、その友人から仕事をとってこいと怒鳴られるが、それはプライドがあっておれにはできない、と話は終わる。
どれも聞いたような話の内容のマンガばかりのようだが、「どす恋ジゴロ」「ナイス・カップル」には注目。
◆『週刊漫画サンデー』NO.39。 北野健一「奥様たちの神話」いやらしくてGOOD。谷岡ヤスジ「ノホホンごっち」ソンもの。今回イマイチ。杉浦幸雄「面影の人」はホノボノエロ。相変わらずモザイクが金網にしか見えないのも愛嬌。『週刊漫画サンデー』は『レモンクラブ』並みにコラムが異様に充実している。蛭子能収、松尾スズキ、山崎一夫・西原理恵子、三留まゆみ、石坂まさお、ETC。
◆『ヤングアニマル』NO.19。 グラビア、坂井優美。かわいい巨乳。ももせたまみ「ももいろシスターズ」男の描くエロ四コマと違って、女性がエロ四コマを描くとあっけらかんとしてて良い。(それにしても「あっけらかん」ってどういう意味なんだ?)。克・亜樹「ふたりエッチ」はマンガよりもときどき挿入されるデータがおもしろい。柴田ヨクサル「エアマスター」は初めて読むので話はよう分からんが、巨乳の描き方が尋常ではない。樋口正一「高度救命救急センター」は丁寧に描かれていて好感。山口よしのぶ「たびてつ友の会」人情鉄道旅行マンガ。各地の名物紹介をふまえつつ、話の内容も結構泣ける。「女のくせに」と言われて育ったおばさんが大学へ通う理由を話す場面が良い。離れてしまったけれども、かつて出会ったあの人もがんばっているだろうと思って私もがんばる。宇仁田ゆみ「ニンゲンをとろう」新人のデビュー三作目。写真家を目指す青年の物語。あまり新鮮味のない絵と物語で無難。でも女の子がかわいい。こいずみまり「コイズミ学習デスク」コンパにおける女の子のサインについて。おいらは大学生でありながら一回も合コンというものをしたことないし、これからもしないと思うので、あまり役立たないが、おもしろかった。巻末グラビア、星野志穂。この子も巨乳。
◆『パロ野球ニュース』10月号。 巻頭で、みずしな孝之とやくみつるが対談。みずしな孝之はやくみつるのマンガを読んで衝撃を受けマンガ家になろうと思ったそうだが、しかし、やくみつるのマンガっておもしろいか? はた山ハッチ時代からやくみつるのマンガで笑えたことないんだが。(正反対の意見がここに)。野球に無知なので、この雑誌のマンガが果たしておもしろいのかどうかさえよく分からないのだった。と、最近みかけないと思ったら日高トモキチはこんなとこで活躍してた。と、杉作J太郎はこんなとこでも仕事していたのか。来月号から『月刊スポコミ』とリニューアル。野球に限らず、いろんなスポーツをネタにしなければやっていけないほど野球人気が落ちているということだろうか。いしいひさいちが登場。
◆『近代麻雀ゴールド』11月号。 麻雀もまったく知らないので、ほとんど流し読み。塚本JOY・桑沢あつお「青春牌団〜雀ブル成長記」主人公が師匠に「うんこも喰えねえようじゃ麻雀は勝てん」とうんこを喰わされる。そんなもんなんだろうか麻雀って。
この雑誌、ところどころに、二十年間無敗伝説をもつという雀鬼・桜井章一が登場する。「SYOICHI」なる桜井章一を主人公にしたマンガはあるわ、桜井章一が麻雀を語るマンガもあって、まるで桜井章一個人誌のようだ。巻頭、パーティーでの桜井会長の鶴の一声で制作が決まったというVシネマ『真・雀鬼』の紹介グラビア。戦闘機の納入先をかけた麻雀頂上決戦や国家権力との闘いが描かれるらしい。で、監督はあの小沼勝。見てみたくはある。
◆『モーニング』NO.43。 かわぐちかいじ「瑠璃の波風」『沈黙の艦隊』海江田の少年時代。うまい。榎本俊二「えの素」カラーでボインボイン。吉田基巳「水と銀」マンガオープンわたせせいぞう賞受賞作。あめかすり風の少女と、大学生の青臭く真面目なロリコン恋愛もの。男の描き方が嫌味でなくて良い。かっこつけてなくて適度にスケベで。大田垣康男「一生」この作者の初単行本を読んだことある。昔から真面目で熱い。上野顕太郎「ひまあり」うえけんが会社を妄想する。ギャグはときに真実を描いてしまうのね。
◆『WEEKLY漫画アクション』NO.41。 国友やすゆき「幸せの時間」夫は不倫、妻も不倫か? 柳沢きみお「妖しい花」う〜ん。セックス時の男の暑苦しさを描いたら世界一かもしれん。末田雄一郎・人見恵史「SL航太郎」コンビニの仕組みがよくわかる。伊藤理佐「ヒロミとジュリエット」今回はおもしろい。伊藤裕作・松久寿仁「11/2からの愛」風俗案内マンガになってるような。素股の種類は勉強になった。橋本以蔵・たなか亜希夫「軍鶏」画が上手く、ゆったりしたペース。映画のよう。
9/1998||10b/1998
ISHIHARA, Shingo
shingoo@lily.sannet.ne.jp