◆『ラリー・フリント』。 ポルノ雑誌『ハスラー』の首謀者ラリーの物語。エロを規制しようとする側がそろってばか者だということが分かる。清潔な社会なんてくそくらえ。
◆『八日目』監・ジャコ・ヴァン・ドルマル。 『トト・ザ・ヒーロー』の監督。アクロバティックなカメラワークは健在。障害者と健常者のふれあいものにしてはあまり嫌味ではないな、と思っていたが、ラストで障害者が自殺してしまって、健常者は家庭に戻って幸せという結末に失望。「常識」から一歩も抜け出せていない。むしろ、健常者が自殺して障害者が生き残るべきだった。それくらいラジカルな映画が出てきてもいいんじゃないか。
◆白川道『病葉流れて』小学館,1998。 麻雀はルールも何も全く分からないが、麻雀小説は読む。勝負の場面は飛ばしまくりで読むので、読むスピードはめちゃ早い。
◆朝起きて、大学の人文学会主催の懸賞論文を手直しして、あと、詩をでっちあげて提出。夜はだらだらと飲む。
◆「SONATINE ∞」 僕はこのまちがきらいだ/ 都会の夏をのがれてくる人のまち//ああ 誰か僕に 花の名前を教えてくれないか/そうすれば あのまちに帰って/おまへの残像を うつしとることもできるのに//空の青さと 僕の心をくらべてみようか/ 酔うこともできず さめることもできず/ あこがれは 空の果てへと きえていった// 僕はいつか 大きなまちがひをするだらう/ その悲しみは 生きている人を喜ばせる//
◆近所の古本屋で、岸田秀『続ものぐさ精神分析』、マルクス『共産党宣言』、後藤明生『挟み撃ち』、干刈あがた『ホーム・パーティ』、藤子不二雄A『ぶきみな五週間』、もとやま礼子『やったぜ墓場グループ(1)』、つげ義春『懐かしいひと』。
◆Kが家にいないと寂しい。亭主を待っていてキッチンドランカーになる主婦の気持ちが分かってきた。
◆夏目房之介『手塚治虫の冒険』小学館文庫,1998。 一言でいえば、物語があって描写があるのではなく、まず描写の技術があって物語があるということ。だから「表現」から「思想」を論じなければならないという夏目の視点は刺激的。
これを読むと、手塚から白土、大友へという流れがくっきりしているように思えるが、実際はそうではないんじゃなかろうか。この流れだけでは、例えば梶原一騎が抜け落ちる。もちろんそれは分かっていて単純化の美学をとっているのだろうが。でも実際はもっとぐちゃぐちゃしてるだろうし、そのぐちゃぐちゃさがマンガの特徴でもあるのではないか。手塚から出発して展開する歴史観はもはや古いのではないか。しかし『マンガ地獄変』系まで含めてマンガの歴史を語るのは到底ムリだし、これはこれでおもしろいからいいのだが。
◆藤子不二雄A『ブラックユーモア短篇集(2)〜ぶきみな五週間』中央公論社,1988。 ほぼ全作品の吹き出しが、曲線ではなく角張っていることに注目しよう。ここに作者の意図が現出している。ここを読まなければ読んだことにはならないだろう。
◆つげ義春『懐かしいひと』二見書房サラ文庫,1976。 解説が天沢退二郎。つげ義春は、ほとんど起承転結のない作品にも、最後のコマに「完」と入れることが多い。ページ数が終りなので、とりあえず「完」にしとけ、というような「完」にも取れるのだが、そうとると、つげ義春にまんまと騙されたことになるのだろうな。起承転結がなくて私小説的に見えるにしろ、それも作者の意図であって、どの作品も精密に構築されたものだろうから。しかしそのような器用さよりも、例えば、安部慎一の不器用さのほうをオイラはとる。
◆ゼミずる休み。
◆『変玉』VOL.2,ワニマガジン社,1998。 全部ほぼ外れなし。とくにしろみかずひさ「不協和音」が素晴らしい。ますます絵に磨きがかかって、とくに風景や物による心理描写が洗練してきている。風景が前面に出てきている。「許して下さい」とマリカの膝にすがりつくコマは泣ける。綾坂みつね「遺産」は女の子の感じる表情がいやらしい。邪琅明「彼女の肖像」兄妹の近親相姦を兄に憧れる純情そうな少女がのぞき見てオナニー。妹が兄を「大嫌い」と言い放つところの大ゴマが良い。純情な少女に対して妹が影のありそうな少女なのがミソ。町野変丸「ビキニ」はいつものだが、オチが毎度ぶっとんでる。てくてく「イノセント」は物語にまだ画力がついていっていない。きゃらめる堂「花嫁」両性具有もの。意外と重要な作品かもしれない。花隠イズミ「花日記その2〜白球の思い出」は文句なしにおもしろい。乗ってたときの吾妻ひでおを思わせる。A-10「フロイライン」女装した小学生と女教師。絵がとても好み。大越孝太郎「マルサイ」太った女性を調教して痩せさせる男。ガロ系の絵柄とあいまってインパクトはあるが、まだまだ未完成。こういう才能を伸ばす雑誌として『変玉』があっても良いが、こればかりだと困る。CHERRY「空の青と本当の気持ち」少女マンガ風エロ。少女の母親探し。母親の男を殺して母と決別する。シャーク闇鍋「怪獣プースケ」が居候。父親食べ殺し、母親とやって子供作って家庭を乗っ取る。円谷プロで映像化予定(うそ)。永山薫「リコメン街道」は前回に引き続き別役礁。社会システムのマゾ性を読み取る。あんまエロティックじゃないから気付かんけど、よく考えたら、毎朝の満員電車に耐えるなんてよっぽどのマゾじゃなきゃできんよな。マゾじゃなきゃ生きていけないのが現代社会ってもんよ。なんて素晴らしい社会だ、おいらマゾだから。トレヴァー・ブラウンのナチ連想イラストが二枚で幕。
◆『HANA-BI』監・北野武。 こんなに綺麗に海を撮ったらダメだ。
◆柄谷行人『反文学論』講談社学術文庫。 痛快の一言ですな。
◆バイト先の男の子が遊びにくる。二度目。うちになんか来たっておもしろくないだろうに。「就職どうするんですか」とまるで昨夜の母親の電話みたいなことを言われる。『浦安鉄筋家族』を何冊か読んで帰っていった。
◆自分の住んでる所より条件の良いところを見付けると悔しいので、いつも不動産屋の貼り紙なんて絶対に見ないのだが(これを「認知論的不協和」と言うらしい)、なぜだか目に留めてしまう。3万5千円で風呂便所別、押入つき六畳にキッチン。風呂付きでこの値段!! 最近、銭湯へ行くのが面倒臭くなりつつあるので、風呂付きはうらやましい。とくにこれから寒くなるので、スポーツ新聞を読めるというメリットだけでは銭湯通いが辛くなる。
◆スーパーで安売りの豚肉味噌漬け。
◆鐵塔書院で、しろみかずひさ『アルコールラムプの銀河鉄道(上)』、さそうあきら『ベンケー』、田中ユタカ『初夜』、柄谷行人『反文学論』。田中ユタカはすぐ売れてしまうので見付けたときに買はねばならない。というか、どんな本でも見付けたときに買わないと手に入れられなくなる。……ということは分かっていても、ときどき「あとでいいや」とためらって誰かに買われてしまい後悔している。
◆最近の『ASAYAN』は、つんくがモーニング娘に対して、まるで紋切型の教師のように偉そうだ。芸能界ってのはそういうところなんだなぁと分かっておもしろい。ところで、鈴木あみってかわいいのか? アイドル評論の中では比較的冷静な記述なので愛読している『投稿写真』のあるコラムでも、鈴木あみはかなりの逸材だと熱を込めて書かれていて、そうかぁ? と思う。
◆田中ユタカ『初夜〜ヴァージン・ナイト』竹書房,1997。 甘酸っぱい恋物語エロ。こういうの弱い。胸がキュンとしちゃったりして。あまりに男性に都合が良すぎるという批判はあるだろうが、作者はそれを分かって描いているのだ。これで、恋愛は犯罪であるという視点、恋愛の危険さが加わったらさらに良くなるだろうが、それは田中ユタカの望むところではないのだろう。 で、恋愛は犯罪的だということを徹底して描いている一人が、しろみかずひさで、彼の処女作品集である
◆しろみかずひさ『アルコールラムプの銀河鉄道(上)〜プリオシン海岸の情景』三和出版,1997。 はまず冒頭の「アルコールラムプの銀河鉄道」からその青臭さに惹かれる。彼の作品の多くは、女性の存在があらかじめ失われている、失われると約束されている、あるいは女性との関係が禁じられている。関係の存在がないところにフェティシズムが生じるということはマルクス御大が明らかにしたところで、だから「ピアスの記憶」において、男性は女体へ過剰なピアッシングを行なうのだろう。それは全ての悲しみの根源さえをも感じさせる。ところで、しろみの描く絵はスタイリッシュで好きなんだが、マリカの絵はどうもなじめない。とくにその巨乳。
◆ 買物。『変玉vol.2』、白川道『病葉流れて』、『文藝』冬号、と『InterCommunication no.26』特集は「音楽/ノイズ」。ノイズったって、インキャパシタンツとかマゾンナとかじゃなくて、日本なら池田亮司を筆頭とするような静謐テクノというかアブストラクト系というか要するに音響派特集。カタログ、ガイドとして役立つが、しかしオイラからすれば重要な音楽家mainが全く取り上げられていないのはしかたないことか。ovalなんてそんなに持ち上げるこたぁねえと思うんだが。一番印象的だったのはヴィンコ・グロボカールのインタビュー中の「60年代には私も『われわれ』と言いました。しかしいまは『私』としか言いません」という言葉。
◆内田春菊『クマグスのミナカテラ』新潮文庫,1998。 回想で語りはじめたからには、やっぱり完結させて欲しかった。内田春菊の代表作のひとつになったろうに。続きが読みたい。
◆織みゆき『ふられ竜の介』秋田書店チャンピオンコミックス,1980。 最初はシチュエーションギャグで始まるが、3巻目あたりからシリアスドラマに。『翔んだカップル』と同じような軌跡を辿っているのはその影響からだろうか。
かなりクサイのだけれど、ラストの悲劇はかなり泣けます。おすすめ。
◆電車で痴漢プレイをさせてくれるとKが言うので、渋谷まで通勤に付き合ったのだが、だまされた。カバンでガッチリとガードされた。くそぉ。でも満員電車もたまに乗るとおもしろい。
◆渋谷のセンター街にあるマンガ喫茶「COMIC CLUB」へ。
◆梶原一騎・ちばてつや『あしたのジョー』。 愛蔵版にして全16巻、一気読み。8時半から2時半まで、約6時間かかった。途中から、試合のシーンなどは流し読みにして、スピードアップを試みたのだが、これだけの時間がかかるということは、それだけ濃度が高いマンガだということか。梶原一騎とちばてつやが争ったからこそ生まれた傑作。だということは分かるのだが、いまいち乗れなかったのは単行本で一気読みというのが悪かったのだろう。雑誌連載でチビチビ読んだほうがよいタイプのマンガだ。
◆マンガ喫茶は初体験だったが、けっこういい雰囲気。ただここは椅子が堅かったのが難点。なにより嬉しかったのは、オイラの大好きなフローズンが食べ放題だということ。しかもメロンとオレンジ、二種類も。ばくばく食って腹が痛くなりつつも、2400円をレジのおねいさん(かわいかった!!)に払って。
◆まんだらけへ。永島慎二『フーテン(全)』、『リトルボーイVOL.1』、織みゆき『ふられ竜の介』。平田弘史の初期作が復刻されるそう。
◆『weekly漫画アクション』11/3号。 たなか亜希夫「軍鶏」、柳沢きみお「妖しい花」もいつも通り良いのだが、なんといっても山本直樹の読み切り「泳ぐ」に注目でしょうなぁ。いつも通りの手慣れた、夢と現実が交互に交錯する手法が鮮やかなのは当然として、いちばん興味をそそられたのはセミの泣き声の表現。海辺の大きい日本家屋、畳の上に少女が寝ている。そのコマいっぱいに「みんみんみんみん」という大きな字が並ぶ。さらにその次のコマもおもしろい。海が見える海辺のジャリ道というコマ。水平線の上の、普通ならなにもない空間に、小説の一節のような文字が置かれている。こういう箇所から、山本直樹がマンガをどのように捉えているのかとか、文字が物語に侵食するのは内田百間(ホントの漢字は日じゃなく耳)の影響だろう、とかいろいろテクスト解釈ができそう。フェラーリ千代乃丞のエロエッセイ「夢のフェラ千代日記」は抜群におもしろいので単行本化希望。
◆例えばあからさまな民族差別表現は許されないのに、女性に対するそれが許されているのはどういうことなのか、これは考える価値があるだろう。作者に女性差別の意図があるにせよないにせよ、ロリコン/美少女マンガ・エロ劇画には、女性からしたら侮辱的な表現がかなり多く存在し、流通している。例えば『フラミンゴ』掲載のマンガ(他意はなし)のどれかひとつを取り出して、主人公を少女ではなくユダヤ人にしたらどうか。出版できないことは明白だ。この理由を、女性が社会的に地位が低く、また現代社会が女性に差別的だからだ、と還元するのは簡単だが、どこか違う。もっと違う解釈が必要な気がするのだ。例えば柄谷行人は、「文学の想像力の根底に『差別』があるということが問題なのだ」と書いている。しかしこの「差別」とエロマンガにある「差別」とは質が違う。エロマンガはあからさまに「差別」を描きながら、実はその根底に「差別」はないのではないか。う〜ん、こりゃ、おもしろい問題だ。あからさまに描いているからこそ、そこに「差別」がない。いや、ここまで強調してしまうと、他の意味が重なってきてしまうのでダメだ。
◆田亀源太郎『嬲り者』Bプロダクト,1994。 めちゃ、めちゃ、濃いです。『さぶ』連載作品です。けむくじゃらでプロレスラー上がりのオヤジが、ヤクザに監禁され調教され犬になりアナルにビール瓶をつっこまれ糞を食べさせられ……最后には愛する男性に救出され、彼と結ばれる……。読み通すのにちょっと努力を要しました。読後、これは主人公がオヤジでなく美少女だったら、美少女マンガとして普通に読めてしまうのだ、ということに気付いてぞっとしたのです。例えば、痴漢の恐怖を男性が体験するには、女性ではなく男性に触られなければならないということだ。
◆『週間ヤングジャンプ』no.46。 グラビア広末。『ヤンジャン』というと、広末・奥菜という印象がある。
◆『週間ヤングジャンプ』no.47。 案の定、奥菜だよ。最近くずれてきた広末と違って、奥菜は新たな魅力が出てきた。マンガのほうはとりたててなし。毎度だが『えっち』がエッチでよろしい。
◆NHKの集金がはじめて来る。「金が無い」と言ったらおとなしく帰っていった。新宿で餓死した老人は、受信料をきっちりと払っていたけれど、あれでさすがにNHKも「貧乏人からの無理な徴収はやめよう」と反省でもしたのだろうか。
◆ 自転車で横浜駅近くの古本屋、ぽんぽん船。伊藤重夫『チョコレートスフィンクス考』(よもや伊藤重夫が売ってるとは思ってなかったので嬉しい。これで彼の単行本は全て揃った。)、内田春菊『クマグスのミナカテラ』、田亀源五郎『嬲り者』、西江雅之『東京のラクダ』、バクシーシ山下『セックス障害者たち』、『SALE2』。
◆近所の古本屋。バロン吉元『大学の親分(1)』(最近バロンブーム)、すえひろがり『my life as(1)』、山田章博『異界物語(全)』、『アナトミアvol.6』、『comic零式vol.6』。ここ、SABE『BEAUTIFUL MONEY』、玉置勉強『メロドラマチック』がもう売られていて、定価で買ったオイラとしては、なんだか損した気分。
◆神田森莉のページが。
◆『劇画パチンコクラブ』11月号。 『美味しんぼ』を見ればわかるように、題材が特殊なマンガって、だいたい、人情話に落ち着く。例えば、パチンコが題材なら、パチンコ絡みの人情話が多くなるし、パチスロが題材でもそうなるのは『パチスロBIG』でも見てみれば分かる。しかし、この『劇画パチンコクラブ』に載っているのは純粋にパチンコマンガである。人情話系の作品が少ないのでマニア濃度が高い。そこが良い。名前を知っている作家は沖圭一郎だけだったけれども、パチンコに全く門外漢なオイラでも楽しめた。
◆『コミック・ファン03号』雑草社,1998。 特集、西村しのぶ。インタビュー、西炯子。01号に比べると(01号の吉田秋生特集は ひどかった)、読める記事が多くなった。あと、とりあえず、四コママンガを載せるのはやめたほうがいい。ファンとしては西炯子のインタビューが読めて嬉しい。彼女は子供の頃から日本の近・現代文学を読んでたそうだ。「人間っていうのは人間でしかないという人間観を身につけてしまうと、想像の世界で飛ぶことが苦手になるんですよ」とな。なるほど、オイラがファンタジーをほとんど受け入れなくなってしまった理由が分かったぜ。SFにしても宇宙を舞台にしたハードSFは苦手だ。あぁ、こんなことなら幼い頃からトルーキンとか読んどけばよかったよ……
◆『ゴルフALBAコミック』1号。 小池書院発行にしては小池一夫色が少なく無難にまとまっている。ゴルフ好きにはたまらん雑誌だろう。藤子不二雄A「ホアー!! 小池さん」小池さんが、ロンゲストドライバーやエイリアンパターなど、変なクラブで大活躍。旗包みも披露。黒鉄ヒロシ「KUROGANE GOLF MUSEUM」ゴルフ起源を黒鉄流ナンセンスで。自由奔放で良い。小掘洋・紅林直「ゴルフ王国ガイア」ゲームの世界に飲み込まれた主人公がRPG形式でゴルフを習得していく。秋本尚美「ナイスチョット」かわいらしいエッセイマンガ。小池一夫・平野仁「飛ばしてなンボ!!〜猛がチャージ」カメラマンがひょんなことからプロゴルファーに。ゴルフ名場面の歴史も学べる。ほかに、村野守美、大島やすいちが描いている。お薦めは黒鉄ヒロシと、やはり小池・平野コンビ。
◆ チョコレート菓子を食べすぎてふらふら。
◆『オリーブ』くらもちふさこインタ。
◆古本屋。かきざき和美『闘奴ルーザ(1)激闘編』、志村貴子『敷居の住人(1)』、伊集院808『美少女レストラン』、『つげ義春全集(7)』、『PETITパンドラ(2)(6)』(新体操会社めあて)、『ホットミルク7月号』。ここの古本屋、『遠藤浩輝短編集(1)』が三冊も売っていた。これが読み捨てにされてしまうというのは、読者に見る目がなさすぎるんじゃないか。
◆オイラ、マンガ雑誌ってあんまり好きじゃないのね。長い物語をダーって一気に読むのが好きなの。最近、長編を読んでないので、マンガ喫茶でも行こうか。いやマンガ喫茶でバイトすりゃいいのか。
◆伊集院808『美少女レストラン』日本出版社,1995。 これほど先の読めないマンガも珍しい。伊集院808の単行本はすべて必読である。
◆玉置勉強『メロドラマティック』ワニマガジン社,1998。 個人的には玉置勉強のなかで一番好きな単行本。『快楽天』という掲載誌の性格ゆえか、非常に抒情的なエロ=メロドラマ。とくに「もう、いらない」は傑作。今年の美少女マンガ単行本の収穫のひとつ。respectに松本充代の名があるのが意外だったけれど、納得。
◆雨。
◆浅草東宝のクレイジー・キャッツ映画オールナイトとどちらにしようか悩むが、結局、早稲田大学の人物研究会主催、瀬々敬久講演会&未ビデオ化作上映会にいく。しかしフェミニズム団体からの抗議にあって上映会は中止。なんだかなぁ。徒労だなぁ。講演会は映画論からプライベートまで。人間があって風景があるのではなく、まず風景があって人間がある。一緒に行ったKが「瀬々監督は笹塚に住んでるそうだが、笹塚に旨いメシ屋はあるか」と質問。(彼女の勤め先は笹塚なので)。監督はかなり詳しく答えてくれたのだった。
◆コージーコーナーでチーズケーキパフェ。コージーコーナーって田舎くさい。田舎者がいくところだと思う。オイラもそうだけど、東京は田舎者の集まりだからね。
◆ 新しい就職雑誌で『POO』というのが出ていた。タナカカツキやらイエローキャブ社長やらバクシーシ山下やらが弟子を募集していた。非常に読者対象を絞った就職情報誌であるな。
買物は『POO』、根本敬『天然』、『コミックファン』(大学生協)、玉置勉強『メロドラマティック』(コンビニ)。
◆根本敬『天然』水声社,1998。 書き足して復刻。語り下ろし続編つき。
現在の作品から比べると地味な印象。語り下ろしされた続編が圧巻。それにしてもなんでこんな物語をおもいつけるんだ!!
◆『安藤組外伝〜群狼の系譜』監・工藤栄一。 伏線も物語も中途半端で唐突に終わったので、「なんじゃ、こりゃ」と驚いたのだが、続きの予告が出てきて納得。二本組なのね。一瞬『エヴァ』かと思ったりして。
安藤組ヤクザ映画については、いままで観た二、三本だけの印象だと、圧倒的に原作に負けている。『安藤昇全集』を出すべきだな、どっかの出版社。
◆『冷血の罠』監・瀬々敬久。 作為的に殺人現場を見せない演出。非常に巧いのだが、なんか物足りんなぁ。
初期の瀬々作品はラストが死で終わるにしても、そこで終わりではなく、世界へ開いていこうとする希望/意志があったと思うのだが、最近作ではそれが感じられない。「すけべてんこもり」(原題『END OF THE WORLD』)の「世界の終わり」からの「始まり」が、最近作だとするのならば、あまりに絶望的すぎる。
10a/1998||11/1998
ISHIHARA, Shingo
shingoo@lily.sannet.ne.jp