#??

◆NHK−FMでシカラムータのライブを聴く。新しいアルバムの曲は、前のアルバムと比べて、よりコンポステラを思わせる音だった。

◆続けてラジオドラマを何気なく聴いていたら、これがなかなか良い。行方不明の兄が家に戻ってきたと思ったら、部屋に閉じこもってパラシュートを縫っている。壊れた家族が壊れた家族のまま終わる。壊れ肯定。松田正孝という人が脚本。

◆「一生の思い出」って、けっこうくだらない場面が多いな、とふと思う。センター街できよ彦を見たとか、死ぬまで憶えてそうでイヤ。

◆池袋芳林堂にて。客が店員に筒井康隆と斎藤美奈子が編纂したアンソロジーの本のある場所を尋ねていた。店員は「ありません」と答えていたのだが、その本、さっきまでオイラが立ち読みしていた本なのだ。よっぽど「そこにあるよ」と教えてやりたかったが、やめた。その店員は版元の営業に対応していたりして、立場的には副フロア長くらいかと察した。芳林堂でさえこのレベル。そんなんでいいのか。対して、新宿のペペの最上階の本屋はやる気が感じられる。例えばマンガの棚に『漫金超』が揃っているなんて、ここしかないよ。

◆テレビの「つめ放題」特集。つめ放題の達人という主婦がその技を披露していた。まず入れる袋を指でのばしていく。これは基本。ピーマンは両手に挟んでガっと潰す、冷凍イカはホッカイロで温めた手で握って解凍、カップラーメンは容器は捨て中味だけ取り出してつめる、魚は指で開く。魚の血で汚れた手は、魚保冷用に敷いてある氷で洗う。…………。

◆以下、買った本。まずマンガ。安部慎一『日の興奮』、西炯子『学生と恥(上)(下)』、語シスコ『ラブ&カタストロフィー』、『激しくて変(2)』、漫☆画太郎『道徳』、三好銀・やまだないと『FAXPRESS』、やまだないと『ガールフレンズ』、山浦章『ボクらはみんな生きている(1)』、『少年エース』2002年1月号、『別冊ヤンマガ』(藤枝奈巳絵の脱力っぷりが素晴らしい)。

次、活字。松尾スズキ『星の遠さ寿命の短さ』『第三の役立たず』、『季刊 本とコンピューター(1)(2)』、黒沢清『回路』、桜木裕子『片意地娘』、デニス・クーパー、渡辺佐智江訳『フリスク』、小沢健志『幕末・明治の写真』、宇佐美辰一『きつねうどん口伝』、山口雅也『ミステリーズ』、島田荘司『アトポス』、高瀬彼方『天魔の羅刹兵(2)』、ベルトルト・ブレヒト、野村修訳『亡命者の対話』、尾形界而『古書無月譚』、佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』、レイモン・ラディゲ、松本百合子訳『新訳・肉体の悪魔』、中井久夫『中井久夫著作集(4)(5)』、江戸川乱歩『探偵小説四十年(上)』、野口三千三『原初生命体としての人間』、菅谷規矩雄『詩的リズム』、田島節夫・加藤茂、他『思想の鍵』、森崎和江『悲しすぎて笑う』、河野多恵子『骨の肉・最後の時・砂の檻』、現代ネットワーク研究会編『テレクラな日常』、ジム・トンプスン、門倉洸太郎訳『サヴェッジ・ナイト』、ノルベルト・エリアス、徳安彰訳『社会学とは何か』、高橋敏夫『嫌悪のレッスン』、山代巴『出船の笛』、パトリシア・ライトソン、猪熊葉子訳『星に叫ぶ岩ナルガン』、『本の雑誌』2001年9、12月号(『本の雑誌』って買うの恥ずかしいよね)、橋本治『暗夜』、ジャック・アタリ『21世紀辞典』、塩倉裕『引きこもる若者たち』、チャールズ・ブコウスキー『ありきたりの狂気の物語』、平沢武彦編著『平沢死刑囚の脳は語る』(帝銀事件の本はいろいろ出てるけど、「脳は語る」ってところまでいっていたとは)、森田裕子『サーカス』、中島義道『人を嫌うということ』、高橋りりす『サバイバー・フェミニズム』、高橋いさを『極楽トンボの終わらない明日』、ケラリーノ・サンドロヴィッチ『スマナイ。』、狐『狐の書評』、フェイ・ミエン・イン、小川高義訳『骨』、中井久夫編『1995年1月・神戸』、アメリア・イアハート、松田銑訳『ラスト・フライト』、ジョン・バース、志村正雄訳『船乗りサムボディ最後の船旅(上)』、松尾忍『一人の首切りも許さない』、高崎平司『暗黒裁判〜民事法曹の隠れたる暴力、骨肉をも裂く』(自費出版本。タイトルもいいが、サブタイトルも過激でいい)、小松卓郎『亭主を殺す完全マニュアル』、豊田利晃『ブラッドブラザー千原兄弟』、網野善彦・鶴見俊輔『歴史の話』、梶尾真治『おもいでエマノン』『さすらいエマノン』『かりそめエマノン』、横森理香『恋愛は少女マンガで教わった』、色川武大『百』、なかはられいこ『脱衣所のアリス』、ヴィルジニ・デパント、稲松三千野訳『バカなヤツらは皆殺し』(威勢のいいタイトル。表紙のカネコアツシのイラストかっこいい)。以上はほとんど、というか全てブックオフで百円。

いつだったか、グッドウィル(登録制の派遣会社)でボトル検品バイト(これは楽だったが、引越しとか事務所移転とかは最悪だよ!!)の帰りに新秋津駅近くのリバティで、滝田修『ならずもの暴力宣言』、佐竹昭広・三田純一編『上方落語(上)』、西脇順三郎・金子光晴監修『詩の本1 詩の原理』、ブライアン・W・オールディーズ、石原武訳『手で育てられた少年』、堤令子『わが妹・娼婦鳥子』、新左翼理論全史編集委員会編『新左翼理論全史』、蔵田計成『新左翼運動全史』、岩谷宏『ザ・ポップ宣言』。若者向けのレンタルビデオと古本の店なんだが、なぜか新左翼とか滝田修の本が。あまりのアンバランスに思わず購入。オールディーズのはサンリオ文庫だが、百円だった。

◆龜鳴屋発行の藤澤清造『藤澤清造貧困小説集』をネットで。限定500部。布張りの表紙につげ義春のイラスト。表紙をめくると「まことに済みませんが、/一つ面倒見てください。/拝みます。//清造」。泣ける。オフセットでなく活版印刷というどこまでも凝った作りの本。藤澤清造は芥川などと親交もあった大正期の私小説作家。昭和7年、芝公園で凍死。『藤澤清造貧困小説集』はタイトル通り全面貧乏。読んでて悲しくなるほど貧乏。ここめでくるともう笑うしかない。おれは笑いながら読んだ。


#2

◆夜中、テレビ東京で相米慎二監督『セーラー服と機関銃』、偶然に見る。相米慎二のマイベストは才気走りまくりの『ションベンライダー』だが(評判高い『台風クラブ』は未見)、『セーラー服と機関銃』もなかなか。薬師丸ひろ子と対立する悪玉が「ヘロインを日本中にばらまいて日本をヘロイン漬けにするのだ」とのたまったり、迷路のような病院で、薬師丸ひろ子がなぜか花嫁衣裳で逃げ回ったり、ついにつかまって、悪玉に「解剖してやる」と言われたり。悪玉は両足を失っている。なんだか江戸川乱歩の通俗長編を思い起こすような場面満載。演出はさすがなんだが、話がヘンで、そのギャップがおもしろい。☆☆☆☆

◆ちょっと前に買ったんだが、書き忘れていた。高田馬場ブックオフで、山田消児『アンドロイドK』(「苦しくも悲しくもない 崖っぷちでひょうたん島を見送ってから」「もののかげ皆立ち上がり放課後を暗き方へと出でてゆきたり」)、海原悠介『ナショナルと警察を敵にした男』(タイトルいいなぁ)、立川談四楼『ファイティング寿限無』(これもタイトル)、辻信一『ブラック・ミュージックさえあれば』(平凡社からの新刊『スロー・イズ・ビューティフル』も良さそう)、新保信長・編『消えたマンガ雑誌』。どっかの駅構内のブックセールで、ヒューバート・セルビーJr『ブルックリン最終出口』。

◆引越し前、横浜で多分最後に買った本。軒下文庫で谷川俊太郎・編『日本のライトヴァーズ1 煖爐棚上陳列品一覧』。これは、詩のアンソロジー。イチバン好きだったのは、松下育男の「顔」。「こいびとの顔を見た//ひふがあって/裂けたり/でっぱったりで/にんげんとしては美しいが/いきものとしてはきもちわるい//こいびとの顔を見た/これと/結婚する//帰り/すれ違う人たちの顔を/つぎつぎ見た//どれもひふがあって/みんなきちんと裂けたり/でっぱったりで//これらと/世の中 やってゆく//帰って/泣いた」。なにも泣くことはないと思うんだが。「笑った」のほうがいいんじゃない? 

で、引越し後はじめて買った本は、自宅マンション前のさびれた古本店で、山崎さやか『ラブゾンビ』、牧村みき『Bondage Japan』、新田たつお『山本風太郎くん』。引っ越し前最後に買った本、引っ越した後最初に買った本、どちらも自分の方向性が思いっきりでている。


#1

◆いつのまにか床に何か部品が転がっている。家具か電化製品か何かの一部だろう。しかし何の部品なのだかさっぱり分からん。捨てようかとも思うが、大事な部品だったらと思うと捨てられない。自分も同居人もずぼらなので、いつまでもそのブツは床にある。

そいで、見るたび、「あう、まだある」と思う。「こぬやろ」と放り投げて、いたたまれない気持ちになってみたりもする。どうすればいいのか。どうせいちゅうねん。

で、こーいう物件に名前を付けてみたらどうだろう。例えば赤瀬川原平が、都市に点在する無用の長物に「トマソン」と名づけたように、部屋に転がっている何だか分からない部品、捨てようにも捨てられず、いつまでも存在してしまう何かのかけらに名前をつけたらどう? と同居人に言ったら、「じゃあ、……『ヴォオウ』」。……。極めて発音しにくいよ。

◆稲野書店で『炭坑美人』オンラインで購入。初オンライン購入。



8,9,10/2001||12/2001


ISHIHARA, Shingo
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