山咲トオル『戦慄!タコ少女』総集編vol.2

月刊『恐怖の館DX』8月号増刊 リイド社,1997
雑誌02944-8 A5判
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 山咲トオルを初めて読んだのは『週刊プレイボーイ』でだったのです。
 「美少女大爆発!!」。驚いたね。衝撃でした。それから「う〜ん、山咲トオルいったい何者?」とうなされていました。その後、本棚の整理をしていたら『The Lucky Horror Show』36号(南原企画,1996)が出てきて、なんとなく読み返していたら、唐沢俊一と蜂巣敦の対談のなかに山咲トオルの名前を発見したのでした。
 それによると彼は、アイドル歌手になりたくて、ホリプロかどこかにいたけど、背が低いのでアイドルはあきらめて、デザイン学校に通っていた。その頃、ひばり書房の怪奇マンガ風のものを二、三頁描いて出版社に持っていったら即デビュー。子供の頃から母親がひばり書房の漫画本を与えていたとのこと。
 描く漫画も怪しいのに経歴もなお怪しい。天然の怪奇マンガ家であるな。
 山咲トオルの絵は楳図かずお風であります。でも中身はギャグです。ときたまシリアスもやるけど、やっぱり彼の本領はズンドコギャグです。だから山咲トオルの作品は「ズンドコホラー」と呼ばれます。
 また、彼の作品にはときどき、救いようのない悲惨な内容のものがあります。悲惨といえば山野一の諸作品を思い出します。二人とも楽しんで救いようのない物語を描いています。でも山野一には屈折した明るさを感じるのに対して、山咲トオルにはまったく屈折を感じません。心から楽しんで描いています。っていうかただ何も考えてないのかもしれません。そこが魅力であり素晴らしいところですね。
 怪奇マンガというジャンルは、日野日出志・神田森莉など、さまざまの個性的で特異な作家を生み出してきました。だから、近年、過去の作品の復刻が盛んです。山咲トオルも20年後に再発見されるでしょう。
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ref.
◆◇◆ 山咲トオル ◆◇◆
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