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佐野和宏
1956年、静岡生まれ。
明治大学在学中より『狂い咲きサンダーロード』などに出演。
俳優として活躍を始める。
1982年、自主映画『ミミズのうた』がPFF'83に入選。各国の映画祭に出品される。
1989年、「監禁 わいせつな前戯」で監督デビュー。
自作自演による、ドラマティックでメッセージ性の強い作品を次々と発表。
劇場公開作品(「 」は公開題)
- 『最後の弾丸』
「監禁 ワイセツな前戯」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,吉沢健 1989年11月公開
有楽町シネマで見たのだが、もう一年前なので、ラスト主人公が死ぬ場面しか覚えてない。でも傑作だったことは覚えている。
- 『破壊せよ、醜悪なるものを』
「人妻ONANIE 甘い痺れ」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,荒木太郎 1990年3月公開
未見
- 『ジェラシー』
「若妻 しとやかな卑猥」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,吉沢健,一ノ瀬まみ 1990年10月公開
岸加奈子嬢の熱演に尽きる。冒頭のガラス越しの彼女はめちゃ美しいし、佐野和宏扮する脚本家と喧嘩して別れるシーンは見ててホント悲しかったし、特に電話で「おれたち終わったんだよ」と言われて絶叫するシーンは彼女の姿は映らないで電話ごしの絶叫のみなのだが、泣けてきた。これは観客が彼女に感情移入できるからなのだろうと考えたとき、そういえば佐藤寿保作品ではあんまりそういう感情移入は発生しにくい、それは観客に対して拒絶しているというか厳しいからなのだが、そこがいいのかもしれない、それなら、観客とコミニケーションしたいというのは佐野監督も佐藤監督も同じなのだが、前者はストレートで後者はある種屈折しているなぁ、佐野監督はロマン主義だななどと思いつつ八ミリに映る岸加奈子嬢の姿をオイラは涙ながらに見ていたのでした。惜しいのは、えせフランシス・レイのような音楽。もっとピアノだけとかストリングスだけとかにしてほしかった。
- 『Yokohama Long Good-bye』
「変態性戯 みだらに苛めて」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,下川史朗,伊藤清美 1991年2月公開
横浜を舞台にした固ゆで卵探偵映画。ラスト子供と抱き合う主人公が印象的。佐野和宏監督は家族にこだわっているようだ。
- 『走れ!! 走りつづけよ』
「燗熱性戯 うずく」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏、岸加奈子、川奈忍
未見
- 『東京ダダ No More Never More』
「発情不倫妻」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,水島川彩 1991年8月公開
未見
- 『海鳴り あるいは波の数だけ抱きしめてられるかアホンダラ』
「集団痴漢 人妻覗き」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,梶野考 1991年11月公開
未見
- 『鯉のぼり旗めく下に』
「痴漢わいせつ覗き」
脚・佐野和宏 出・友成亜紀子,吉本直人,荒木太郎 1992年4月公開
未見
- 『しがみつく女』
「痴漢ONANIE覗き」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,中川みず穂,岸加奈子 1992年7月公開
未見
- 『Don't let it bring you down』
「変態テレフォンONANIE」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏、岸加奈子、梶野考 1993年1月公開
泣ける。佐野監督の最高傑作。劇場公開の日本映画でこういうものがあったというのに驚いた。青い空と白い雲が美しい。果たして日本映画史上これほど泣ける映画があっただろうか?
佐野和宏監督の映画は私映画のようだ。
- 『日本の悲喜劇』
「不倫・母・娘」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏,岸加奈子,梶野考 1993年5月公開
未見
- 『南瓜の味』
「性感極秘マッサージ 全身愛撫」
脚・佐野和宏 出・浅野桃里、冴木直、津崎公平 1993年10月公開
親父が上京して子供に会うという小津チックな話。
岸加奈子嬢がいい味出してます。
- 『海鳴り あるいは我々は後向きには歩けない』
「狂乱不倫妻 熱いうめき」
脚・佐野和宏 出・岸加奈子,梶野考,伊藤清美 1994年9月公開
『ラストショー』を彷彿とさせる厳しい青春映画。ラストシーン最高。傑作。
- 『BREAK ON THROUTH』
「性春の悶絶 こんにちはクリスチャン」
脚・佐野和宏 出・佐野和宏、青木こずえ、林由美香 1995年公開
ドアーズへのオマージュだがただの賛美だけではなく、簡単に死んでしまうロックスターへの批判も。「形だけロックしやがってよ」うーん。かっこいい。
以下オリバー・ストーン批判なので読みたくない人は飛ばしてちょ。
「ドアーズ」といえばオリバー・ストーンも撮ってるが、あれはメグ・ライアンのヌードが見られるだけのくだらない映画。オリバー・ストーンお得意の誇張に満ちあふれていて、そういうのが好きな人はいいんだろうけどオイラは嫌い。「エド・サリバン・ショー」のシーンなんて映画だと暴れまくってるけど、実際はおとなしく歌っている。
『プラトーン』は何にも感じさせるものがなくて、『地獄の黙示録』の方が断然上。少なくとも『地獄の黙示録』はベトナム戦争の倦怠感を的確に表現していた。個人的にはベトナム戦争ものではティム・オブライエンの『ニュークリア・エイジ』がベスト。映画じゃなく本だけど。
「う・ひ・は・へんてこりん」のテーマを梶野考が口ずさんでいるということは『変態テレフォンオナニー』の続編なのだろうか。あの梶野考のキャラクターが、『変態テレフォンオナニー』『BREAK ON THROUTH』の経験を経て、どのように生きていくのか興味深い。ぜひ続編をつくってほしい。
死ぬのは簡単だ。生きてく方が難しい。実はサラリーマンが一番強いのかもしれない。
自主制作作品
『ミミズのうた』
脚・佐野和宏 出・ 1982年制作
1983年PFF入選
『ドライフラワー』
脚・佐野和宏 出・ 19??年制作
未見
link
火ダルマGのページの日本映画に花束を!!第3回:「変態テレフォンONANIE」
参考資料
『P・G』no.11
『季刊サブカル通信』第三号
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