藤枝奈己絵「超能力者・鈴木文子」

講談社,2001-2002
『別冊ヤングマガジン』No.24-28まで連載 未単行本
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 デビュー以来徹底して脱力した世界を描いてきた藤枝奈己絵(以前は藤枝岬)の初連載作は意外にも戦闘美少女ものだった!?
 ヒロイン鈴木文子は世の悪を正すよう神から超能力を授けられる。しかし文子ちゃん、一日中ゴロゴロ寝ていて、下手糞なマンガを描くのが趣味なので、せっかく超能力を授かっても、ふとんに入ったまま空を飛んだりして、全く社会平和に役立たないくだらないことに力を使うばかり。しかも力を使うと体調不良になってゲローと吐いてしまうのだ。
 まったく藤枝奈己絵のマンガを読むと脱力する。癒し系ともいえるかもしれないが、しかしよく考えると流行の「癒し」とは対極だ。「癒し」の裏には、もっと頑張れもっと働けというメッセージがあってうんざりけれど、藤枝奈己絵のマンガにはそんな押し付けがましさがみじんもない。
 本当は行きたくないのに毎日学校へいく、本当は働きたくないのに金を得るために会社へいくという現実。文子ちゃんは超能力を得ても、行きたくない働きたくないという一点は手放さない。あくまで脱力したまま吐きつづけるだけだ。雑誌欄外の近況報告には「作者自身も体調が悪くて、ゲーばかりしています」とあった。「調子悪くて当たり前」(ビブラストーン)。藤枝奈己絵は信用できる。
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