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『DOLL』1989年12月号 No.55 株式会社DOLL発行

Theピーズが11月21日にビクターからレコード『グレイテスト・ヒッツvol.1・2』を出します。2枚同時発売で全部で32曲聴けます。本当はそれだけで充分。私の言葉など幾つ並べても、彼等の出す1曲にはかなわない。けれど、少しでもみなさんにピーズの事を伝えられるのであれば…。ハード・スケジュールの中、ハル(Vo.&B.)、アビさん(G.)、マスヒロ(Dr.)、3人にインタビュー。言葉よりも、もっと彼らの事が分かるレコードです。

▼自分違の音楽に対しての、評価についてどう思っていますか?
ハル「音楽的には評価はうけていないから……」

▼自分で思っているより、軽く見られちゃってると、思いますか?
ハル「っちゅうか…ねえ…なんか"なんとボーカルのハルはカステラのトモと双子だ"とかさ、そんなのばっかりだから」

▼弟さんと比べられてイヤ?
ハル「別に慣れてるから。何とも思わない」

▼今のファンについてはどう恩ってる?
ハル「ファンなんて5,6人しかいないと思っているから」

▼そんな事ないんじゃないですか?
ハル「だって、みんな流行ってるからだもん」

▼動員が多くても「流行ってるから」って考えちゃう?
ハル「みんな知らないんだから…。俺、知らない人苦手だから。前から知り合いっつ一のは5、6人くらいで」

▼結構動員は多いですよね。
ハル「動員って何だろう…分かんない、、だってワンマンやってね一から、どれだけ呼べるかって分かんねーし」

▼ライヴの時にノってくれたり、踊ってくれたりするお客さんは? ステージではそんな事見てない?
ハル「あ一愉しそうだな一、って見てるけど」
アビさん「ノってくれる奴より、ノらない奴の方が意識するっちゅ一か」

▼どう云う処で?
アビ「だからさ、ワンマンとかやってないからどうしたって他のバンド目当てのお客さんとかいるでしょ。そう云うような"なんだこいつら"って観てるカンジの奴の方が気になる。」

▼ワンマンやってない事って意識する?
ハル「めんどくせ一からやんなかっただけ」

▼今回のレコードって云うのは、今までライヴでこなしてきた曲ぱっかりですか?
アビさん「こなしちゃいないけど、ライヴでやった事がある曲」
ハル「70曲くらいあったから、その内平分」

▼好きな曲を選んだの?
ハル「使えそうなのを選んだって云うカンジ」

▼本格的なレコーデイングは初めて?
ハル「そう」

▼どうでした?
ハル「う一ん、涼しくて気持ち良かった」

▼順調に行った方?
ハル「うん、順調。みんな"長い"って云うけど、そんな事はないと思う」

▼レコードの出る時期って早かったと思います? 遅かったと思います?
ハル「わかんね一。結構上手くいってると思うんだ」
アビさん「長かったな一、とも思わないし、こんなに早くてイイのかな一、とも思わない」
ハル「って云うか、今度出来たレコードは1年前じゃ出来なかった。1年前に出してても良かったかもしれないけど」

▼今回のレコードにキャッチ・フレーズを付けるとしたら?
ハル「バキパキ、グチョグチョ、ドロドロ」

▼じゃあ…(次の質問に行こうとする)
アピさん「(大笑い)それでいいの? すっげー! いいな、こう云うのも」

▼ハルさんがそう思ったのなら、それでイイじゃないですか(笑)
ハル「気をつけて答えよう(笑)。」

▼アビさん通訳してください。
アビ「そうですね一、ハルくんの云いたい事は…要するにギターの音がデカくて、それで音が固くて、ポーカルがグチョグチョで、そう云うカンジのちょっと日本のロックじゃない様な音って云う事ですか?」
ハル「そうね。マン汁、肉汁ドロドロってカンジ。ロックンロールって」

▼ライヴとは違ったカンジで仕上がってます?
アビさん「ライヴでは再現不可能って云う曲ぱっかり」
ハル「かぶせてっからね、結構。」

▼ライヴっぼくしようとは思わなかった?
ハル「その曲ごとに完成形を目指してって。ライヴっぼいカンジの曲はライヴっぼくなった」

▼満足してますか?
ハル「妥協してない」

▼レコーディングの作集自体も清足してやれた?
ハル「うん」
アビさん「ハルはもう死んでもイイって(笑)」

▼いいモノが出来たから?
ハル「うん。いいの出来たからね。聴く奴も多いといいけど。先入観でさ、聴かなかったりとかヤだな。どうせキャー・キャー云われてるバンドだろう、とか。キャーキャー云われるのも大変なんだけどねえ」

▼2枚同時に出すって云うのは誰が考えたの?
ハル「みんなで」
アビさん「成りゆきで。気がついてみたら」
ハル「あれもい一ね、これもい一ね、ってどんどんやってったら、30曲突破しちゃって」

▼次に廻そうとか恩わなかったの?
ハル「次に廻そうと思うとさ、先にやる方が"次があるから"って手抜いちゃうのが怖くて」

▼詞の問題はあったの?
ハル「あったけど…2,3個ですんだ」

▼奇跡に近い数字ですね。
ハル「後になって何か云われるかもしれないけど。もうすでに何か云われてるみたい」

▼ひっかかった詞は手直ししたの? それとも誤魔化したの?
ハル「言葉を1つだけ『あいうえお』を『かきくけこ』に直す位のもんだから」

▼そう云うのに反発ってない?
アビさん「あんまり詞に興昧がないから…いいっすよ。"アンパンやってラリった"が"アンパン買ってラリった"になっちゃってさ。それもまた面白いな一、とか思っちゃった。納得しちゃたよ、俺」

▼でも、詞の魅カってあるんじゃないかなー
ハル「って云うより、言葉ののせ方考えてるから。それ失敗しちゃうとリズムなくなっちゃうから、それは基本だなと思って。上手とか下手とかじゃなくて、基本ね」

▼詞を狙って創ったりはしない?
ハル「メロディを詞も狙って出来るもんじゃないから、たまたま上手くいったってのもあるけど…全部偶然」
アピさん「狙って外したら困るだろーなー(笑)」
ハル「狙わない。何も狙わないほうがイイ」

▼言葉自身、面白いですよね。
ハル「結構暗いと思う。詩人じゃないから、あんまり大した詞じゃない。メロディがイカしてれば、詞は関係ないんでは。関係あるんだけどさ、詞が良くてもメロディが良くないと…ねぇ。メチャクチャ格好いいメロディでさ、メチャクチャ格好いい詞だったりしたら、泣いちゃうからねえ(笑)」

▼じゃあ、メロディの為に詞がある?
ハル「メロディを完成させる為の詞。邪魔しない程度の詞」

インタビュー・文*荒木淳/撮影*今拓海    9月27日 新宿御苑・プラス1



『DOLL』1989年12月号より


daitaiyaneeeee@soredemo.org